帰国して1週間が経ったので、ぼちぼち今回のカッチ滞在を振り返ろうと思います。

まず、良くも悪くも、自分の中でカッチ滞在が特別なイベントでは無くなり、普通の日常になってきていると感じています。日本の生活の延長線上にカッチの生活があり、カッチの生活の延長線上に日本の生活があるような、その切り替わりが、以前より曖昧で、帰ってきた!というよは、ずっと日常が続いているような感覚です。



今回のカッチは4ヶ月弱の滞在でしたが、前半の2ヶ月は、日中はアジュラクプールでブロックプリントをして、夕方からはSIDR craftでバンダニや板締めを。最初の1週間はいつものことながら体調を崩しましたが、だいたいを平和に過ごしていました。頭も手も身体も動かして、全力で制作。アジュラクプールはもとい、2年目になるSIDR craftも慣れてきて、特にトラブルもなく、後片付けまできっちりスケジュール通り。



後半2ヶ月は、日中はブジョディにあるNGOのShrujanや、クックマにあるKPMDと呼ばれる縫製をメインに活動している団体で制作し、夕方からは変わらずSIDR craftで制作しました。日中の制作では、職人さんとの共同作業が格段に増え、進行がコントロールできなかったり、ミスコミュニケーションで思わぬ結果になったりと、苦戦することも多々。それでも、様々な布に関わる職人さん達の真摯な仕事を間近で見ることができ、制作の幅にも可能性を感じ、間違いなく良い経験をさせて頂きました。



後半のカッチ制作も充実していたものの、しかしながら、プライベートで多大なストレスに見舞われたタイミングでもあったので、体調を崩して病院へ行ったり、仕事を休ませてもらったりと、ボロボロの状態で何とか踏ん張っての制作でもありました。4ヶ月弱を通して働いていたSIDR craftの方々には、その辺の身の回りのこともお世話にもなり、大変感謝しています。





今回、新しく取り組んだこととしては、カッチの刺繍やパッチワークなどを取り入れた作品を作り始めたことです。前述のShrujanやKPMDと制作していました。もともとの計画では、昨年同様にShrujanで化学染料のブロックプリントをする予定でしたが、なんとブロックプリントの工房がリニューアル中で、現在は使えないことが判明。



少し離れた場所にある工房に道具を持ち込んで実施することも出来たのですが、折角なので刺繍やパッチワークもやってみようとなり、結局最後の最後まで取り組んでいました。殆どの工程で職人さんと共同作業となり、最初の2週間で作品が1つも完成せず、少し焦ったりもしましたが、2ヶ月弱を通して、計10点ほど作り上げました。新しい知識も増え、作りたいものも広がり、是非次の滞在でも続けられたらと思っています。



ずっと行きたいと思っていた、ブロックメーカーの工房にも訪れました。カッチからガンディナガールを超え、ペタプルと呼ばれる街まで小旅行。思い返せば、ここ数年のカッチ滞在は、工房から離れることなく、ひたすら制作していたので、カッチ以外のどこかへ行くのは久しぶりでした。制作に集中することは、今までの私には必要なことだったかもしれませんが、これからは意識的に知らない土地や新しい経験をするための時間もしっかり取っていきたいなと。広いですしね、インド。



そんな思いもあってか、職人さんが集まるご飯会や、村のイベントに、以前より参加していた気がします。仕事以外で、現地の方と接する機会が増えました。誘われることも多くなり、自分でも積極的に集まりに足を運び、場所によっては全く言葉が通じないことも多々ありましたが、ただ雰囲気を感じたり、なんとなく一緒にいたり、現地の方の生活を垣間見たりと、無理なく楽しんでいました。



また、制作以外に継続出来ていることで言えば、田中直染料店で販売中の『ナチュラルブロックプリントキット』の売り上げの一部を、今回も無事にアジュラクプールの小学校に還元しました。村を歩いていると、子供たちから名前を呼ばれることも増え、脈々と循環が広く深くなっていることを感じます。これからも良い流れを続けられるように、活動を頑張ります。



そして、もう一つ、自分の中で大きく残るだろう出来事がありました。元旦に起きた能登半島地震において、KPMDと連盟で 50,000 INR(≒ ¥88,000)を寄付することになったことです。きっかけは、地震が起きた1週間後に訪れた、現地の地震に関する博物館。こちらはまた別の記事で書こうと思います。





インドに行く度、制作活動はもとい、ライフスタイルや思考も、変化したり、逆に変化しない部分に気づいたりして、日本にそれを持ち帰っては、いつの間にか失くしてしまったり、残って自分の一部になったりの繰り返しです。この生活は、好きで、生きている感じがして、責任を感じる部分も増えてきて。でも、続けていると犠牲になるものもあったりして、段々と自分がもう一般的な道には行けないことを薄々感じたり。夜の道を1人歩き続けているような気分になることもあります。

でもカッチで布に出会えたことは、きっと私の人生でとても良いことだったはず。願わくばずっと制作を続けていきたいと、今回の滞在を振り返っても、やはりそう思います。

制作の他にも、今年はブロックプリントのWSが例年より多く入っているので、カッチのテキスタイルを広める役割も、引き続き邁進します!