こちらは今、結婚式シーズンでして、職人さんがセレモニー参加のため仕事をお休みすることが増えています。本日第2工房に出勤したプリンターは何と2人!殆どが欠席でした。9mの机が9台も並ぶ広大な工房が、少し物寂しいような、と同時にのびのび制作出来て心持ち軽いような今日この頃です。
新しい第2工房は、プリントスペースはほぼ出来上がっていますが、その他のスペースは依然物凄い勢いで整備中です。私が来てからの1ヶ月間だけでも様々な環境が整いました。毎日のように資材を乗せたトラックがやって来ています。





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先日、多摩美術大学の生産デザイン学科テキスタイル専攻の授業で、アジュラクプールの工房よりオンライン特別講義をさせて頂いた際、最後の質疑応答で「海外で外国人として働くからこそ大変だったことは有りますか?これから海外で働きたいという学生に向けて何かアドバイスなど。」と問われました。
大変だったことは確か沢山あったはずで、カッチに通い出してからの7年間、何度か泣いたこともあったのに、嘘では無く結構忘れちゃてて。何かしら答えねばと、そういえば村でセクハラにあったこと、それが村の中で予想外に大ごとになったこと、その原因が自分が外国人であることに所以していたことを、記憶をたどりながらお話ししました。ブログに書き残していたから覚えてたけど、そうでも無ければ咄嗟に思い出せなかっただろうな。こっちに慣れてきたのか、近頃は割と穏やかな気持ちで過ごせていることもあり。
アドバイスに関しては、超個人的な経験のもと出てきた考えをお話しました。海外で仕事をするためには、しっかり自己主張しなければいけない!みたいな風潮があると思いますが、このムスリムコミュニティーで1人外国人として存在する立場では、そうでも無いのだろうと感じています。
コミュニティーの強さと言いますか、人間関係の密接さ言ったらいいのか、日本の職場環境とはやはり明らかに違う雰囲気です。親縁者も多く、カースト制度の名残もあり基本的には立場が変わることも無さそうなので、大袈裟に言うと家族の延長線上みたいな。そんな雰囲気で毎日粛々と制作されています。
未だにカッチ語が不自由で、職人さんとコミュニケーションが取りにくい中、最近は「和を持って尊し」くらいのスタンスでいるのが良いのだろうなと思っています。「コミュニティーに入れておいても害はなさそうだな。」くらいに思ってもらえる存在感といいますか。「何言ってるかハッキリとは分からないけど、あの日本人はネガティブなことは言わないだろう。」と思ってもらえるような安心感といいますか。
確かに様々な国籍の方が集まってくる海外の企業では、自己主張をしないすぐ埋もれてしまい、やっていけないのかもしれません。一方で、ここで長く働きたいならば、逆に埋もれるくらいが丁度良く、自分も心地良いのかもしれない。そんな距離感で良いのかもなと思う今日この頃です。