先日、アジュラクプールで起きたちょっとした事件を書きたいと思います
要約すると、私がセクハラを受け、それについての村の対応、私の感想です
写真なしの文章のみ!
先日も朝からアジュラクプールの工房に行って、布を染めてました
外へお昼を食べに行った帰り、工房へ戻ろうと歩いてると、13歳前後かな?村の男の子が2人、後をつけてきました
2人とも自転車に乗ってましたが、私の歩くスピードに合わせ、のろのろとついてきます
そのうちの1人が、ちょっと厄介な子で
最初は他の子供たちと何ら変わらなかったんですが、2週間くらい前から突然、私を見かけるたびに卑猥なことを言ってくるように
村は狭いので、お昼ご飯を食べるために工房の外へ出たり、バス停からの行き来の道で、たびたび遭遇
最初は遠くから変なジェスチャーしたり、叫んできたりしてたのが、友達を巻き込んで、距離もだんだん近づいてくるように
でも、めんどくさいから、基本は無視
昨日はずーっと自転車でつけてきて、延々と名前を呼ばれる中、無視して歩いてたら、腕を掴んできました
ちょっとびっくり
アジュラクプールはムスリムのコミュニティというのもあって、子供であろうと、異性の身体を触ることは、まずありません
そして彼には完全に悪意がありました
日本だったら、子供に腕を掴まれても、さして驚かないかもしれませんが、この村で、そんなことするムスリムがいるんだなと、少し不意を突かれます
強めに”NO”と言って、歩き続けてましたが、それでもやっぱり触ってくる
道の真ん中で、他の工房の職人さんもいたので、早めに切り上げないと
ひたすら”NO!NO!”と言いながら歩いてました
もう1人の子は、ニヤニヤしてるけど、それだけ
あまり近づいてはきません
そうこうしてるうちに、とうとう胸まで手が伸びてきました
アジュラクプールで、ムスリムからセクハラを受けたと気づきます
その子たちは、すぐどっか行ったけど、私はものすごくがっかりした気持ちで工房に戻りました
4年前から毎年アジュラクプールに来てるけど、子供とはいえ、こういうのは初めて
私の中で、この村は、そこらへんの道徳はしっかりしてる、という認識でしたし、こんな小さな村の中で、ビックネームのスフィヤンの工房で働いてる外人と分かった上で、悪意のあるセクハラはないだろう、と思ってました
工房内外の男性は、だいたい優しいけど、必要以上に近づいてくることもありません
良くも悪くも、必ず距離があります
なので、
あ〜、ついにセクハラ〜、やだな〜、平和だったのに〜、アジュラクプールだけは平和だと思ってたのにな〜、悲しい〜
と、なかばヤケになりながら工房に戻りました
で、問題はそこから
どう対処しよう
今起こったことを、誰にどう相談すればいい
工房の中は、ムスリムの男性だけ(1人だけヒンドゥーいるけど)
言葉もわからないし、説明もしにくい
そもそも、我らがムスリムのコミュニティで、そんなことが起こったと知ったら、みんなどう思うんだろう
外人の女が、何故この工房で働いてるのか、と改めて思われたりしたら、本当仰るとおりなので何も言えない
この状況が続くのも嫌だし、来年再来年には、その男の子も成長して、腕っ節も私より強くなるかもしれない
とりあえず、日本にいる彼に相談して、そのあと色々お世話になってる現地の友達にも連絡
友達は今夜話そうと言ってくれて、今日中にスフィヤンにも報告した方がいいよと
それから1時間ほど解決策を考えます
平然と布染めてられる気分でもなく、かといって特に説明もしなかったので、ただ機嫌悪くて仕事さぼってる人になってしまってました、すみません
夜、友達に相談
その友達はカッチの外から来たファッションデザイナーさんですが、家族がアメリカに住んでたり、読む本は全て洋書だったり、あまりインドインドしてません
今回のことも、ニュートラルな感覚で、相談に乗ってくれました
まず、彼女もやっぱりアジュラクプールでセクハラが起きたことがショックだったようです
今は子供でも、このまま成長したら、今度はもっとエスカレートするかもしれない、アジュラクプールの他の子供達に悪い流れを作るかもしれない、今、ちゃんと彼の両親も交えて話した方がいいよ、私も一緒に行って通訳するよ
ってことで、翌日
彼女とスフィヤン、私の3人で、その男の子の家に行きました
スフィヤンは村の中で大きな存在なので、彼が家に来るなり、男の子の両親はすぐさま辺りを片付け、椅子を用意し、何か飲む?と
その男の子も部屋の中に呼ばれて、話し合いスタート
スフィヤンがことのあらかたを説明すると、男の子はそんな事やってないと言い張り、私が嘘をついてると申し出たみたい(みんなカッチ語とヒンディー語を交えて会話してるので、私は友達の翻訳だのみ)
両親も、この子がやってないと言ってるんだから、となって、そんなこんなで、スフィヤンも本当にこの子だった?と
あ〜、、、
顔も服もかすれ声も特徴的だし、今着てる黄緑の服はその時着てたのと同じだよ、この子で間違い無いよ、と友達に説明
友達が粘って事細かく説明してくれて、結局その子も認めました
両親が私に向かってヘラヘラと、ごめんね、この子が悪いことしたら叩いてね、叩かないとわからないから、今叩いてもいいよ?と、叩くジェスチャー
男の子もヘラヘラ
全く反省してるようにみえない、、、
これまたやるヤツだぞ、、、
次第に話し合いは、私の方に問題がある、という流れになっていたようで
母「異性間の交流がないこの村で、みんなに笑顔で手を振ったり写真撮ったりしてたら、子供だって勘違いするよ、嫌って言わないと分からないよ、この外国人も悪い」
友達「その時シオリは嫌と言い続けたし、この子から頻繁な嫌がらせを受けてたから、しばらく前から冷たくしていた、この子はそれに気づいた上で、嫌がらせをエスカレートしていった」と反論
父「嫌って言うだけじゃ分からない、叩かないとわからないよ、嫌なことをされたら、叩かないと、子供たちは分からない、次からは叩いて」と叩くジェスチャー
スフィヤン「嫌なことされたら叩かないと子供は分からない」と、まさかの便乗
友達と両親の間で、少し声が大きくなる
友達から翻訳を聞いてて、これはもう、根本的なとこの壁が大きすぎるなと
グローバルスタンダードのヒューマニズム、フェミニズムから、この出来事がいかに危険性があるか、両親に説得して、子供にに伝えてほしい友達
その日暮らし(のように見える)で、実はアジュラクプールの外から出稼ぎのために村に住みついたらしいその家族
もう結構めんどくさくなってきてるスフィヤン
このまま話し合いを続けても、きっと平行線だ
でも友達は説得を諦めず、このまま放っておいたらもっと大きな過ちをしかねない、外人だからとか、ムスリムだからという問題ではなくて、子どもが嫌がってる女性に手を出すことを、周りの大人が放っておいたら危ない、男性は女性に、手をあげてもいいという、深層心理が生まれてしまう
こうやって文章に書くと、ちょっと過激論に見えるかもしれませんが、こんなひょんな事件から、話は急に深い闇に入っていきます
インドでは、男が女をコントロールできる、というマインドを持ってる人が一定数いるのかと思います
友達は、家族のいるアメリカとインドを比べ、いつもそのことを問題視してます
ただ、こちらではそれが日常に起き得ることなので、両親が子供にフェミニズムの教育云々以前に、まず父親がそのようなマインドを持ってるかもしれないし、母親もそれに甘んじてるかもしれない
話し合いは、どんどん的を外れていきました
私の帰宅時間が遅いのが悪いだとか、2回目なら問題だけど、今回は1回目だし、これからはもう起きないから安心してよ、とか、ちょっと考えすぎ、子供のしたことだから、だとか
友達が、問題はシオリの服装でも、子供を叩かないことでもなく、男性が嫌がる女性に手を出すこと
と、ど正論を言っても、言い訳が出てくるだけ
肝心の男の子はずっとヘラヘラ顔
途中から、両親がスフィヤンに、何か仕事がないかと訪ね始め
最終的には、これからも安心に過ごせるよう神に祈ろう!となって、強制解散
こりゃ大変だ
難しいな、教育の差って
その後、私は違う場所で1人お昼ご飯を食べていたら、スフィヤンから電話が入りました
「その時にいたもう1人の方の子が、今工房にいるから、すぐ戻ってこれる?」
あの、自転車でついてきたけど、ただニヤニヤしてて、何もしてこなかった子か
あの子は別に、あれなんだけど、、、(早く仕事に戻りたい)
工房に戻ると、異様な光景が目に入りました
スフィヤンと、そのもう1人の男の子が隣同士で椅子に座って、その周りを、工房内の全職人さんが取り囲んで威圧
みんな目が怖い
名前を呼ばれ、中に入ってくと、この子で間違いない?と聞かれ
叩きたい?と
そんなことできないし、そもそも、この状況怖すぎ
叩きたくないし、叩いても多分解決しないし、この子はただ、ついてきただけだから、これはやり過ぎなんじゃ、と言ってみるも、状況は変わらず
その後もみんなで睨みつける中、男の子への説教が続きます
腕を組んで必死に涙をこらえる男の子
再度、叩きたい?と聞かれたので
さっきと全く同じ答えを返しました
それが終わりの合図かのように、男の子は解放され、職人さんたちも各自持ち場に
こんな状況、日本のテレビで見たな
アフリカのどこかで、黒人さん達が、1人を大勢でとり囲んで、目がギロリとしてて、いかにも乱暴的で
自分が当事者になるとは
その夜もまた、例の友達に、今日起こったこと、それが怖かったことを話しました
私「あれはちょっとやり過ぎと思う、その子は特に悪いことしてないし、問題の子は未だヘラヘラ反省してない、、、叩く?って聞かれるのも辛い。もう話し合いに時間を使いたくないかな。アジュラクプールの新しい一面を知った二日間だった」
友達、ちょっと考えたのち
「叩きたくない、って気持ちは分かる。でも、あの村では多分必要なことなんだと思う。大勢の大人で1人の子供を取り囲んで、その面前で当事者が叩くっていうのは、他の子供への見せしめになる。悪いことをすると、取り囲まれて、叩かれて、そのことが村の中で噂になる、ってことを子供に身にしみて分からせることが大事なんだと思う。だから、一件落着に見せるために、彼ら結構本気で、シオリにあの場で叩いて欲しかったんだと思うよ。その子もきっと、自分がどんな友達と付き合ってるか気づいたはずだよ」