出国前、ふと

 

” 彫らずに、木目の柄をそのまま出してもいいのでは?”

 

と思い、木材を買いに最寄りのホームセンターへ。

 

なんか良い感じに木目が浮き出てるやつ〜と探しだすも見つからず。

売ってる板って、当たり前だけど、綺麗にカットされてて触ってもデコボコしてないよね。そりゃそうだよね。

 

ありとあらゆる木材があったけど、店中を探し回って、ようやく良さげなのを2つほど。

平らにカットされてるけど、木目はでこぼこ。

今思うと、このカット、どういう仕組みなんだろ。誰か教えてください〜。

 

 

ともあれ、その木材をスーツケースに入れ、はるばるアジュラクプールの工房まで持ってきました。

 

 

 

 

ヒノキ。

木目が盛り上がってるの、分かるかな?

 

まずは、使いやすいように正方形にカットです。日本でやっとけば良いのにね。

 

木をカットしてくれるとこなんて、何処にでもあるだろうとタカを括ってたら全然見つからず。

流れに流れ、ここに辿り着きました。

 

 

 

 

ドクター イスマイルさんのアトリエ。

お世話なってる工房のオーナー、スフィヤン、のお父様。

ここ、アジュラクプールという村を作った、アジュラックの大功労者です。

 

 

カットしていただけないか、木材を差し出してみると

 

「この彫刻やった職人さん誰?」

 

 

あ!

この木目、彫ったものだと思ってるのかな?

 

これは何もしてなくて、自然の木目です、日本から持ってきました、と説明。

 

「ハーン」(インドの相槌)

 

しげしげと木材を見つめるイスマイルさん。

これでブロックプリントしてみようと思ってて、と追加。

 

「ハーン、今、カットする道具出すね。僕は少し休んでるから、自分でできる?」

 

オフコース!ありがとうございます!

 

 

 

 

いざカット!

 

 

してみるも、歯が動かない。

最後にのこぎり触ったの、いつだったっけ。

 

あきらかに不恰好な動作を見かねたのか、またイスマイルさん登場。

コツを教えてくれました。

 

なんとかカットして、工房へ戻る。

 

 

 

 

じゃん!

 

 

 

 

うん、試し押しの防染も良い感じ。染め上がりが楽しみ。

木目の凸凹が浅いから、少しコツがいるけど、何とかなりそう。

 

糊がついた木版を洗って、明日の本番の布をセットして、るんるんで帰宅。

 

 

翌朝。

 

 

木版、びっくりするほど反ってました。

 

そりゃそうだよね。

普通に洗って干しといたもんね。

 

こんなん前もあったな〜。

美大の卒制で、木材の什器が、日を追うごとに反ってしまって、大変だったのを思い出しました。

 

 

今日本番は無理かー。

とりあえず一晩重しを置いとこう。

 

 

翌日。

 

 

、、、平らになってるっぽい!やったー!

これいけるのでは、、、!

 

恐る恐る捺染、、、

 

 

、、、してみるも、全然だめでした。

 

ちょーっとでも反りがあると、染料が木版の両端に多くついちゃって、布に押した時、不恰好な模様に。

 

 

悲しい。昨日は綺麗にできたのに。てかもう、他の木材が無いから、新しく作れない。

 

なんとか平らにならないか試行錯誤してみるも、上手くいかず。

 

それを見ていた職人さん

 

 

 

 

「イスマイルさんに聞け!」

 

 

昨日来たばっかりだけど、また伝説の方のアトリエを訪問。

イスマイルさん、私を見て開口一番

 

「今度は何持ってきたの?」

 

すみません〜、かれこれこうなって〜、板が〜、

 

「あ〜、、、」

 

 

 

 

「だからね、僕たちは厚い木材を使うんだよ。」

 

 

 

 

「これは、一時しのぎだからね。ずっとは使えないよ。」

 

 

 

 

あっという間に、真っ平らにしてくれました。

私の試行錯誤は一体。

 

 

工房に戻り、恐る恐るプリント。

 

 

 

 

あぁぁぁぁぁ〜〜〜

イスマイルさん〜〜〜

ありがとうございます〜〜〜!泣

 

木目通り!本当に良かった。

もう今回、木目木版、無理かと思った。

 

反り矯正のために、つけていただいた木が、取手になって、押しやすさも飛躍!

嬉しい!

 

 

 

 

 

 

それで、これ捺染しながら、考えてたんですけど

 

これってブロックプリントって呼べるのかな?

 

木の断面に細密な模様を彫って、その木版をリピートして捺染した布=ブロックプリントって認識が、何となくあったけど

これは?

 

消しゴムはんこも、英語でブロックプリントっていうし

 

これも多分ブロックプリント

 

 

通りすがりに

「何してるの?」

と尋ねる職人さん

 

「ブロックプリント!」

と答えます。

どやされないか、内心ヒヤヒヤ。

 

 

 

押し終えた、本当丁度このタイミングで、ウズベキスタン、ニューヨークへ出張に行ってたスフィヤンが、2週間ぶりに登場。

 

この布を見るや否や、隣に置いてある取手のついた木材を掴み

 

「この木版、シオリが彫ったの?」

 

、、、やっぱり彫ったって思うのか!