12月17日から21日にかけて、ラジャスターン州のジャイプールとジョードプルを小旅行しました。

ジャイプールを訪れるのは、バックパッカーをしていた時以来の、約10年ぶり。ちょうどインドの布に出会った頃です。その流れでカッチまで辿り着き、以降ずっとカッチと日本を行ったり来たりの生活になりました。

思い返すと、仕事が絡まない純粋な旅は、それ以来なかったのかもしれません。思い立って、たった5日間ですが、インド国内を旅しました。忘れないうちに記録しておきます。



12月17日

夜行列車でジャイプールに到着。冬なのにACが効いた車内で、ちゃんと眠れないまま朝を迎えましたが、意外と身体は動きました。街は客引きの勢いが強い。予約していたホテルのスタッフが感じ良く、それだけで少し気が楽になります。

まずはUberでアンベール城へ。前に訪れた時は、まだUberが無く、リキシャのおじちゃんと値段交渉をしても目的地に辿り着けず、散々だった記憶があります。今回は、目的地へ向かう途中、運転手が観光スポットの前でさりげなく減速してくれて、なんだか過ごしやすくなってしまった。

アンベール城は凄い建築です。それなのに、10年前の記憶の中では、もっと凄かった気がする。あの頃に受けた、インドの強烈な印象が蘇ります。

迷路のような城内に歩き疲れ、カフェで小休憩。少し高いけれど、空気のいいテラス席でコーヒーを飲みました。こういう場所があるのは有難い。カッチには、休むための箱のような空間が少ないからなぁ。

午後はアノーキーミュージアムへ。こちらも10年ぶりです。あれから、生活も仕事も、周りの環境も変わりました。ブロックプリンターとしてこの建物に入るのは、不思議な気分でした。中は涼しく、外の喧騒が遠のきます。以前は地球の歩き方を見ながら苦労して辿り着いたのに、Google mapであっさり来れてしまった。

ここでも、侘び寂びという言葉が、別の意味で使われているのを見かけました。寿司が世界で変形していったのと似ている。本来の意味を説明できた方が良いのだろうと思いつつ、日本の文化に興味を持ってもらえることが、やはり嬉しい。



12月18日

前夜は眠すぎて、朝にシャワーを浴びました。途中から水になり、極寒。

朝ごはんを食べにIndian Coffee Houseへ。落ち着く場所でした。調度品は素朴で、よく手入れされていて、空気が静か。近所にあったら通ってしまう。メニューを見ていたら、日本人の方に声をかけられました。数年前からインスタでフォローしていた方で、このカフェを知ったきっかけも、その方の投稿でした。いきなりのことで驚いてしまい、うまく話せなかったけれど、素敵な方でした。

この日は、以前スフィヤンの工房で働いていたプリヤンカと会うことに。前日にジャイプールに来たことをストーリーズに上げたら、最近引っ越してきたのだと連絡がありました。待ち合わせには普通に1時間遅刻してきましたが、ジャイプールは散歩でいくらでも時間を潰せる街です。

プリヤンカに紹介されたお店は、お宝の山でした。一度入ったら、何も買わずに出るのは難しい。日本のバイヤーもよく来るらしく、店主の説明や背景を聞くのが楽しかったです。前日にアノーキーミュージアムで見た、ゴールドプリント用のブロックを購入しました。

ジャンタルマンタルは、インドの振れ幅を、そのまま形にしたような場所でした。権力者が自分の趣味を爆発させ、それが時を経て観光地になる。



12月19日

夜行列車で、初めてのジョードプルへ。第一印象は、旅人が好きそうな空気感。景色がよく、ルーフトップカフェが並び、バックパッカー時代を思い出します。

スマホの充電に、終始振り回されている感覚がありました。モバイルバッテリーを持ってこなかったのは失敗。度々カフェに入り、充電させてもらう。旅のリズムが、そこに引っ張られていきます。

カフェで現地の方に話しかけられ、その日の夜にライブがあるから来ないかと誘われました。ジョードプルは、とにかく話しかけられる。観光業が生業の人が多く、片言の日本語で、数分おきに声がかかります。

せっかくの旅、流れるがままに。会場に行くと、ラジャスタンのフォークミュージックライブが開催され賑わっていました。



12月20日

前日に教えてもらったkankaniという村へ。織り、ブロックプリント、陶芸の工房があるそう。

泥防染のブロックプリントは、知らないことばかりでした。ペーストがスープ状で、これで押せるのかと驚く。

作られていく工程を見るのは、やはり楽しい。質問を投げかけても、英単語が分からないのか、曖昧な答えが返ってくることもありました。普段、カッチでは当たり前のように返答が返ってくるので、そうした質問を受けることに、ボスたちは慣れているのだろうなと感じます。

とても親切な人たちで、陶芸の工房にも案内してくれました。次に来る時は、少し離れた場所にある生産ラインの工房においでと誘ってくれて、これはまた来なければ。

ジョードプルへ戻る途中、カッチの友人に紹介されたデザイナーのオフィスにも立ち寄ります。若くて可愛らしい佇まいからは想像できない行動力と美的センスのある女性で、圧倒されてしまいました。夜は巻き寿司を出してくれるレストランに連れて行ってくれて、すっかり好きになってしまう。



12月21日

ジョードプルの中心、フォートへ。外国人料金は4倍の800ルピー。チケットオフィスを通らない入口から入ってしまったらしく、チケット取得にかなりの時間と労力を要しました。こういう初見殺しの多さが、インドっぽくて少し嫌になる。

声の大きさ、距離の詰め方、押しの強さに、少し疲れていました。

日本人ですか?こんにちは!どこに行くの?なんで?待って!そんな呼びかけが続くと、自分の時間が土足で消費されていくような気持ちになります。ルーフトップカフェで一息つこうとしても、営業をかけられる。

結局、宿泊している宿の屋上が一番落ち着く場所でした。オーナーが旅人の情報ノートを見せてくれます。日付は1990年代。

私が旅していた頃も、情報ノートにはずいぶん助けられていたのに、いつしか存在自体を忘れてしまっていた。旅人たちの層が積み重なっていて、どこか懐かしい気持ちになりました。



12月22日

カッチに戻る。ジョードプルからブージへ直行する移動手段がなく、一旦ガンディダムで降り立ちました。列車では途中1回起きただけで、よく眠れたと思います。旅が終わるのが少し寂しくて、次の旅が楽しみになる感覚も久しぶりでした。

ジャイプールもジョードプルも、もう少し足を伸ばして、サンガネルやバグルーにもまた行きたい。

友達ができたこと、友達と再会できたこと、泥防染プリントを見られたこと。それが良かったな。