今回の滞在では、アジュラクプールのSufiyanのブロックプリント工房と、バンダニや板締め絞りなどを行うSIDR craft、刺繍等を行うNGO Shrujan の3つの工房で制作しています。
前回は、縫製等を行うKPMDでも制作していましたが、最近現場がとても忙しいとのことで、KPMDでやっていたことは、Shrujanでまとめて行うことにしました。
活動のサイクルも変わっています。前回はこんな感じ。
期間前半 Ajrakhpur+SIDR craft
期間後半 Shrujan+KPMD+SIDR craft
前回これで回してみて、刺繍にとても時間がかかり後半の期間だけでは足りないことが分かったので、今回は曜日分けで各工房に3ヶ月通しで行くことになりました。こんな感じです。
月曜 SIDR craft
火曜 Shrujan +SIDR craft
水曜 Ajrakhpur +SIDR craft
木曜 Ajrakhpur +SIDR craft
金曜 Ajrakhpur
土曜 Ajrakhpur +SIDR craft
日曜 休み
アジュラクプールのブロックプリント工房では、基本的に単独行動で、工房に到着してから出発するまで、ずっと手を動かしています。
職人さんとご一緒するタイミングは、お昼ご飯を食べる時くらいで、彼らのプリントのキリが良いところで “Shiori! Lunch!” と呼ばれ、工房住み勢が朝に作っておいたカレーや、お弁当を一緒に食べさせてもらっています。私は週1くらいでチャイに合うスナックやタバコを差し入れ。
アジュラクプールの工房は、村の郊外にあり、通勤にも体力を使うし、工房にいる間もずっと動いているので、それなりに疲労感があるのですが、行けば行くほど制作できるし、アイデアも生まれやすいです。
職人さんとは、何か食べる時やチャイを飲む時なんかは声をかけてくれて、お互いの制作過程を見合ったりする距離感が心地よい。
SIDR craftは、カッチの中心地であるブージにあり、宿からも徒歩圏内。移動の心配もないので、遅くまでいられることもあり、毎日夕方以降に制作しに行っています。月曜だけ丸一日滞在。
こちらでは、デザインを考えて、自分で出来る範囲の実制作までやり、バンダニなどは自宅で作業する女性たちにお願いしています。
滞在時間の半分くらいは椅子に座ってデザインを考えたり、ボスのジャバールさんやアブドゥラさんと制作の相談をしたり、結構な頻度でやってくるゲストとお話ししたりと、人と話すことが多いかもしれません。
染色も1人では出来ない部分も多いので、工房のスケジュールに合わせての行動になり、職人さんの手が空いたタイミングで、一緒に制作することになります。
SIDR craftは、新しい出会いや情報を得る場でもあり、人との距離が近いので、アジュラクプールとはまた違う面白さがあります。割とゆったり制作していますが、急なVIP登場など、様々なイベントが発生するので、精神を擦り減らす場面も多々。
Shrujanでは、まさにデザイナーのような制作の仕方をしています。大きな組織で、各セクションの役割がしっかりしているので、私もその流れに沿って動いています。
具体的には、例えば今進行中のアジュラックがモチーフの刺繍入りトートバックの制作だと、まずはトートバックの試作から始まります。
Shrujanで販売されているバックの形を、日本でも馴染みやすい形に少し調整を加えさせて頂いて、デザインを数値化して縫製セクターに提出。そうするとプロトタイプが上がってくるので、微調整を加えながらトートバックの形を決めていきます。
形が決まったら、実際に使用する布と刺繍糸の選択。布をストックしているセクター、及び糸をストックしているセクターでそれぞれ適したものを選んでいきます。
アジュラックモチーフの刺繍のデザインは、iPadでデザインしたものを、編集&プリントセクターに提出。どこにどの伝統刺繍を当てはめるかを相談しながら、刺繍の指定や目印を入れたデザインに変換&編集していただきます。
それをプリントアウトして、下絵を布にトレースするセクターに提出。デザインに沿ってトレーシングペーパーに小さな穴を開け、ステンシルシートのようなものを用意します。選んだ布に、デザインをトレースしたら、刺繍の準備が完了です。
Shrujanに定期的にやってくる、刺繍をする村の女性たちに、実際にその場で刺繍をしてもらいながら、こちらの意図することを共有して、ご自宅で刺繍を続けてもらいます。
上がってきた刺繍を縫製セクターにお渡しして、トートバックに仕上げてもらったら完成です!
Shrujanで構築されているシステムに則った制作は、各一流の方々のお力を借りながら進んでゆきます。何とも贅沢な制作経験。白基調の綺麗な工房は、植物に囲まれていて、雰囲気も良く、社食も美味しいです。
各々の工房に特色があり、制作過程も、時間の流れ方も、食べるものも割と違う中、ぐるぐる行ったり来たりする制作生活は気に入っています。
Shrujanでの制作は今年で2年目で、前回は、全くの新しい環境に右も左も分からず、結構遠回りしました。表に出せず仕舞いの作品も多々生み出してしまいましたが、今回はもう少し上手くやれるはず!
相変わらず、どの工房でも1デザインにつき2枚制作、双方1枚ずつです。早くも折り返し地点に近づいていて驚きですが(体調不良期間が長かった)、引き続き楽しんで手を動かします!