ペルシャに起源を持つ古代のテキスタイル「ローガンアート」の制作で有名なアブドゥル・ガファール家の工房に行ってきました。
ローガンアートとは、約400年前にカッチのニローナ村に伝わったとされる技法で、ひまし油と顔料を混ぜた絵の具を、上から垂らすように、フリーハンドで描かれます。
1950年以降、機械織が入ってきた流れで、1985年頃には7世代続いたガフール家にも仕事が無くなり、ローガンアート自体が消滅しかけた歴史がありましたが、コミュニティ外への市場開拓や、地元の装飾品から国際的な芸術作品への昇華を経て、伝統を存続させました。
モディさんが諸外国への贈答品として扱っていることでも有名な工房で、今も世界中の人がこの工房を訪れています。
ここには何度か訪れていまして、昨年は個人的な取材などもしていました。
日本でアジュラックのWSをする際、スライドトークでカッチの布をご紹介していて、ローガンアートについても、もっと詳しくお伝えしたいなと思いまして。
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で、コラボワークについてですが、現地の他の工房での制作と同じように、デザインを持ち込んで、1デザインにつき2枚制作、1つは私が日本に持ち帰って個展などで展示、もう1つは工房のアーカイブにする、を遂行することに。
初めてのコラボなので、本日は小さなピースを作りました。
今まで、ただ職人さんが制作しているのを横で見てるだけでしたが、実際にやってみると、想像よりずっとずっと難しい。全く上手く描けず、思わず笑ってしまうような仕上がりに。楽しかったなぁ。
デザインは、アイヌ模様の要素に、ローガンアートの特徴的なパターンの掛け合わせにしました。実制作は、ガファールさんのご子息の、ジャバールさんにお任せすることに。
アイヌの波模様に、大分苦戦されていましたが、途中経過で既に良い感じになりそうな予感。
ある職人さんは、この曲線模様が気に入ったみたいで、ジャバールさんの横で、早速独自に展開していました。スピード感が凄い。
ローガンアートの特徴の1つとして、ペーストで描いた後、2つに折りたたんで、転写させる工程があります。
最初は、全く同じデザインを2枚作る予定でした。波模様を転写した時に、ふと、ジャバールさんが『1枚はシオリのデザイン通りに描いて、もう1枚は自分たちのデザインを加えて完成させようかな。』
うわぁ、、、そんな素敵展開待っていたよ。ものづくりって良いなぁ。
転写後から次の工程まで、一定の乾燥時間が必要なため、本日は制作途中でニローナ村を後にしました。完成が楽しみです!