インドから帰国して、1週間ほどが過ぎました。毎回そうなのですが、今回も濃い滞在でした。忘れないうちに、少し振り返っておこうと思います。

今回の旅は、目的地のブージへ向かうスターエアーのフライトの欠航から始まりました。日本から飛行機でアーメダバードの空港へ向かい、そこでの乗り換えのタイミングで欠航を知らされます。すぐにUberでタクシーを呼び、そのまま長距離バス乗り場へ直行しました。なんとかバスに飛び乗り、無事にブージヘ。

ブロックプリントの工房があるアジュラクプールで、まず最初にやることは自転車の状態確認です。ほぼ毎年のことですが、郊外の工房へ通うための自転車は、今年も安定してパンクしていました。リキシャに自転車を縛り付けてブージへ舞い戻り、修理して、ようやく工房に辿り着きます。もう疑問を持つこともなく、一連の作業となっています。

今回の滞在でも、アジュラクプール、SIDR craft、Shrujanという複数の拠点を行き来しました。作る場所があり、仕事があるということは、本当に有難いことだと感じます。それぞれの場所で、受け取る情報や経験はまったく異なり、刺激の質も違う。

アジュラクプールでは、基本的に自分のペースで制作ができます。一方で、SIDR craftやShrujanでは、突発的なイベントや来客が毎日のように繰り広げられ、制作内容的にも自分のペースで動けないことが多いのですが、それはそれで、また良い経験だなと思います。

時期的にも比較的良いタイミングだったのかもしれません。相変わらず暑く、10月いっぱいは毎日汗だくでしたが、昨年よりは過ごしやすかった印象があります。少し前までは、とっくに終わっているはずの雨季が長引き、制作ができない状況だったと聞きました。自然条件に左右される制作環境は、毎回読めません。

体調面も、これまでよりは安定していました。カッチに来ると、毎回どこかで大きく体調を崩してしまうのですが、今回は喉のケアに力を入れたのが功を奏したのかもしれません。いつも鼻や喉の不調から始まり、全体的に体調を崩してしまうのですが、今回は喉の段階で持ち堪えた感覚があります。ノドヌールスプレー、合っていました。

また、新しくKhamirでの制作も少し始めました。まだ試験的な段階ですが、次回はもう少し深く関われたらと思っています。

その一方で、Shrujanでは8点ほどデザインを考え、試作と調整を重ねましたが、最終的に完成した作品はゼロ!3ヶ月強関わって、なかなかカオスな状況です。それでも、相変わらずとても恵まれた環境で、経験を積ませてもらっている感覚があります。日本からオンラインで継続ける予定です。

制作以外でも、印象に残る出来事がありました。銅ベルの共同制作を予定していた工房に何度か通い、デザインやプロセスの共有まで進んでいましたが、突然、連絡を取っていた若い職人さんと音信不通になりました。後に、工房の中心的存在だった職人さんが亡くなったことを知りました。澄んだベルの音が鳴り響く工房で、ニカッと笑って出迎えてくれる、素敵なおじいちゃんでした。

人はいつか必ず亡くなると頭では分かっていても、直面すると、日々の悩みの小ささを思い知らされます。やりたいことをやろう。その後、音信不通だった職人さんが、帰国後の私のSNSの投稿に反応をくれました。また次回、繋がれたらいいなと思います。

最後の1ヶ月は、友人の家に泊めてもらいました。以前から度々お世話になっている女性ですが、今回改めて、その強さに心を揺さぶられました。想像もできないような困難を乗り越えながら、さらに逞しく生きている。仕事のことだけでなく、個人的な相談にも乗ってもらい、美味しい食事も用意してもらって、毎回返しきれないほどの恩を受け取っています。

滞在の途中、インド国内を少し旅しました。ジャイプールやジョードプルを訪れ、久々のバックパッカー気分。ここ数年は、カッチと日本を行き来する生活が続いていましたが、もっと巡っても良かったよなぁと思います。次の滞在では、どこを旅しよう。もうすでに楽しみです。

しっかり計画を立てたにも関わらず、カッチ終盤はバタバタでした。まあそんなもんだよね。やろうと思ってたことは、あらかた出来たはず。

帰国の途中、ムンバイや、ベトナムのホーチミンにも立ち寄りました。どちらも便利で、美味しくて、居心地の良い街。カッチと比べて、様々な面で過ごしやすい。そして、消費している感覚がありました。カッチでは、制作という軸があるから、生活している感じがあるんだな。
帰国後、関西空港からそのまま自宅へ戻り、何も食べずに長いこと眠りました。起きて外に出ると、夕焼けの空の色に目を奪われました。空気が澄んでいると、こんなにも色が表情を持つのか。本当に綺麗。インドの夕日は、太陽そのものの存在感が強く、真っ赤な円として沈んでいく。どちらも美しいし、どちらにも感動がある。
久しぶりに山中suplexに行くと、いつも通りメンバーが動き回っていました。誰かが制作をしている空間は、それだけで落ち着きます。自分はやはり、工房という場所が好きなんだなと、改めて思います。
インドに行って感じることもあれば、帰国してから気づくこともある。そのどちらも大事で、その往復の中で、自分は形作られていくのだと思います。
